RPA(Robotic Process Automation)は昨今大流行りです。わが社でも2018年にパイロット展開、2019年推進組織設置、コロナ禍で遅延はありましたが、2021年3月現在25体のロボットワーカーが稼働しています。
この記事をご覧の方の多くは、同様のお仕事をされているないしは導入検討中のお立場なのではないかと思います。そうした想定で何はともあれ私の自動化の実践ノウハウについて順に記載して行きたいと思います。※当面週一本の記事アップを目指しています。
構成は以下のようです。
(1)自動化の背景、何を目指すか?
(2)対象業務の絞り込み方
(3)現行業務の把握の仕方
(4)自動化の設計図づくり
※ 開発は委託することを想定し、記事の範囲外とさせていただきます。
(5)効果検証
ぜひ、ご意見をいただけますようお願いします。
-----------*-----------
(1)自動化の背景、何を目指すか?
社内の業務効率向上が必要だ、具体的には…と日々頭を悩まされている方も多いかと思います。その悩みの一つが「どのように社内を説得するか?」なのではないでしょうか?それは「何のためにそれが必要なのか?」の自問自答のプロセスかもしれません。自動化は流行ってはいますが、いざわが社で、自部署でとなると経営層から怪しまれ、現場から疎ましがられということになりかねません。一度、背景を整理しておくことが必要かと思います。また自動化で目指すところ、目的はそれぞれの企業によって異なるとは思いますが、私の思うところも記しておきたいと思います。
①業務自動化の背景は「人手不足」?
1995年から15~64歳の人口が減少し始めました。2013年に改正高年齢者雇用安定法が施行され高齢者の就労が促進されましたがその後も有効求人倍率は上昇の一途でした。「人手不足」感は年々悪化しました。だからRPAが、自動化が云々という説明ももっともな気がします。
事務職に絞るとどうでしょうか?少子化で事務職も有効求人倍率は上昇しています。しかし厚生労働省2019年4月発表の「職業別一般職業紹介状況[実数](常用(除パート))」のデータを見ると、事務的職業の有効求人倍率は全職種の中で最も低い0.48です。事務職に就くのは相変わらず狭き門です。業務自動化の動機は「人手不足」対策とは言えません。
それでもRPA市場は年々大きくなっています。矢野経済研究所の調査では2018年から2020年にかけて市場規模は2倍に拡大する見込みです。企業の導入意欲も旺盛です。
②2014年論文「雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか」
先ず、テクノロジーの到達点の問題として考えたとき人工知能やロボットが人の仕事の多くの分野を代替しうるようになっていることは否定しがたい事実です。AI(人工知能)の研究を行っている米オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が2014年に発表した論文「雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか」では、コンピューターによる自動化が進むことにより、20年後の将来には47%の仕事がなくなるという衝撃の結論が導き出されています。
③AIやロボットなどのテクノロジーをよりよく利用した組織の方がよりよく社会貢献できる
企業や経営者がどのような社会貢献を目指すのか?何がその物差しか?これはテクノロジーの利用とは別な問題でこれこそ人間が本来悩み考えるべき領域かと思います。しかしいったんそれが定まった時、定型業務にあくせくしなければならない企業や組織とそこから解放された企業や組織とでどちらがよりよいパフォーマンスを得られるでしょうか?
目先の問題として「競争」「生き残り」という問題も無視できません。いずれにせよ「人が機械のようにミスなく疲れ知らずに定型業務を遂行すること」を求められながら、すり減った心と体から絞り出されるアイデアでは「生き残り」さえ難しいように思います。
AIやロボットをよりよく(より正しく)利用し、付加価値の高い仕事の比率を高めていく組織改革の一環、それが定型業務の自動化の取り組みです。
ここを含めて社内を説得することが必要かと思います。したがってこれを社内で進めるか否かの判断は経営層の責任です。そして組織改革の青写真を伴わない自動化の取り組みは「仕事を取られる」「企画部門の思い付きに現場はいつも辟易している」「うちの部門には関係ない」等の本音にの壁を突破できないように思います。
次回、3/14(日)更新予定です。