続きです。
第1回、2回で「自動化の目的、背景」「自動化対象業務の絞り込み」について触れました。今回は絞り込んだ自動化対象業務の現状の把握です。
詳細で正確でわかりやすいマニュアルを作成している会社、それが適切にメンテナンスされている部署の方にとってはこの回は読む必要がありません。
私の属する会社は、これまでにISO、内部統制等が課題に上がるたびにマニュアルの整備に取り組んできました。しかし残念ながらそれらを維持できている部署は少数で、自動化にあたり一から現行業務の把握をしなければなりませんでした。
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私の会社ではWinActorを使って自動化を進めています。EXCELマクロもある程度利用しています。出来上がったロボットの規模ですが1,000~1,200ノード程度のものが多くなっています。
現行業務の整理は二の次にしてとにかく自動化を推し進め、現場に時間的なゆとりを取り戻すことを短期的に目指しています。
そのため複雑な手作業をそのまま再現したものも多くなっています。自動化した業務の規模よりもその複雑さがノード数を多くしています。
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現行業務と言うのはそれなりに複雑でイレギュラールールも多々存在することが多いのではないでしょうか? そのため現行業務の把握は容易ではありません。そしてここで難航するとロボットの開発ピッチが落ち、目標としている年間自動化時間が達成できません。私の場合、これにコロナ禍も手伝って初期の開発ペースはスローなものになりました。
一人で行っていたこともあって「現行業務の把握」がボトルネックであることは明白でした。「BPM(Business Process Management)」も検討しましたが、高額であり決裁を得られる気がしなかったため見送りました。
ショートムービーを使ったマニュアルが流行っていたことをヒントに、現在の業務を録画して、それを元に現行手順書(AS-IS)を作成することにしました。これは大変有効でした。録画による現行業務の把握のメリットは、
- 出張・移動する必要がない
- 作業手順をイレギュラーなど含めて具体的に詳細に正確に把握できる
- 現場との質疑の頻度が少なくて済む
- 何度も見返すことができる(理解に不安がある点を確認しやすい)
- 作業スケジュールが立てやすい
- ストレスが少ない
等々です。取り分けて1.はコロナ禍で非常に効果的でした。
この録画を元に現行作業の手順書を作成します。録画のキャプチャと簡単な説明書きだけなので短時間で作成することができました。
次回は現行手順書を元にした「自動化の検討」です。